ベトナムの区画整理(行政区画再編)とは?

2025年7月1日に変更され、全国の「省」や「市」などの区分けが大きく変更になりました。

変更になった理由

背景として以下のような問題があったそうです
①たくさんの小さな省や市があり、仕事がたらい回しになっていたので、新区画で一括管理して効率よくしたい。
②海外の投資を増やし、エリアにまとめることで外資系企業の誘致がしやすくなる。
③小さな省や市が勝手(バラバラ)にお金を使うより、新区画でまとめて使った方がムダが少ない(=汚職も減らせる)。

 
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ベトナム全国での変更なので、なにかと大変です……

区画整理の変更前と変更後の違い

変更前は63の省や市がありましたが、34(の省や市)にまとめられました。
なお、ベトナム全国での情報についてはviet-joのサイトでまとめられていますので、そちらもご参照いただければとおもいます。

 
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当サイトではハノイ市に焦点を当ててます

ハノイ市の変更前と変更後

ハノイ市では12区(Quận)と17郡(Huyện)が51地区(Phường)と75村(Xã)に再編/統合されました
全部を紹介すると細かくなってしまうので詳細はベトナム政府の電子新聞(ベトナム語版)にお任せするとして……。
在住者が密集している12区に絞って解説していきたいと思います。

変更前の名前(ベトナム語) 変更後の名前(ベトナム語) 特徴など
バーディン区(Ba Đình) バーディン地区(Ba Đình)
ゴックハー地区(Ngọc Hà)
ザンボー(Giảng Võ)
政治の中心。政府機関が多く、日本人も多く住んでいるエリアです
ホアンキエム区(Hoàn Kiếm) ホアンキエム地区(Hoàn Kiếm)
クアナム地区(Cửa Nam)
ホンハー地区(Hồng Hà)
旧市街、観光地中心のエリアです
ドンダー区(Đống Đa) ドンダー地区(Đống Đa)
キムリエン地区(Kim Liên)
オーチョーズア地区(Ô Chợ Dửa)
ヴァンミゥ – コックトゥザム地区(Văn Miếu – Quốc Tử Giám)
ラン地区(Láng)
学校や住宅が多いエリアです
ハイバーチュン区(Hai Bà Trưng) ハイバーチュン地区(Hai Bà Trưng)
バックマイ地区(Bạch Mai)
ヴィントゥイ地区(Vĩnh Tuy)
商業施設が多いエリアです
タインスアン区(Thanh Xuân) タインスアン区(Thanh Xuân)
フォンディン地区(Khương Đình)
フォンリエット地区(Phương Liệt)
新興住宅地として開発が盛んなエリアです
カウザイ区(Cầu Giấy) カウザイ地区(Cầu Giấy)
ギアドー地区(Nghĩa Đô)
イエンホア地区(Yên Hòa)
大学やIT企業が多く、学生向けの格安賃貸も多いエリアです
ホアンマイ区(Hoàng Mai) ホアンマイ地区(Hoàng Mai)
ヴィンフン地区(Vĩnh Hưng)
トゥオンマイ地区(Tương Mai)
ディンコン地区(Định Công)
ホアンリエット地区(Hoàng Liệt)
イエンソー地区(Yên Sở)
リンナム地区(Lĩnh Nam)
南部の住宅地エリアです
ロンビエン区(Long Biên) ロンビエン地区(Long Biên)
ボーデー地区(Bồ Đề)
ヴィエットフン地区(Việt Hưng)
フックロイ地区(Phúc Lợi) 
レッドリバーの東側。イオンモールロンビエンのお膝元でもあります
ハドン区(Hà Đông) ハドン地区(Hà Đông)
ズンノイ地区(Dương Nội)
イエンギア地区(Yên Nghĩa)
フゥルオン地区(Phú Lương)
キエンフン地区(Kiến Hưng)
元は別の市、再編で地区に統合されたエリアです
バックトゥリエム区(Bắc Từ Liêm) タイトゥー地区(Tây Tựu)
フゥジエン地区(Phú Diễn)
スアンディン地区(Xuân Đỉnh)
ドンガック地区(Đông Ngạc)
トゥオンカット地区(Thượng Cát)
北部の新興エリアで、ココも格安賃貸がチラホラあります
ナムトゥリエム区(Nam Từ Liêm) トゥリエム地区(Từ Liêm)
スアンフォン地区(Xuân Phương)
タイモー地区(Tây Mỗ)
ダイモー地区(Đại Mỗ)
BRT(高速バス)の運行エリア内で、交通量も多いです
タイホ区(Tây Hồ) タイホ地区(Tây Hồ)
フゥトゥオン地区(Phú Thượng)
西湖がある高級住宅地のエリアで、家族連れの日本人が多く住んでいるエリアです

観光される方の影響

Googleマップや配達アプリでは旧名称表記なので、宿泊先の表記が必要な場合(住所表記が新/旧どちらか)注意してください(とはいえ、2025年7月現在で新住所表記に対応しているホテルは少ないです)。

在住されている方の影響

在留カード(テンポラリーレジデンスカード)、労働許可証……などを申請する(している)場合、時間がかかります(おそらく1ヶ月以上)。
運転免許証の書き換え……(筆者としては、かなり切実な問題デス……)も、物凄く時間がかかってます。くわしくはコチラから

なお、郵便物については現状(2025年7月15日現在)では旧住所でも問題なく受け取りができます
(Shopee等でも受け取り住所の記載は古いままです)

 
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ちなみに2025年2月~3月に在留カードを申請した際、途中で法務局→公安局に変更となり発行までに2か月ほどかかりました

(オマケ)在留カードが切れるとどうなる?

基本的に在留カードは有効期限が切れる3か月前から申請をすることができます。
……が、勤務先の担当ベトナム人が面倒くさがったため、必要な手続きが後ろ倒しになったり、諸事情により手続きに時間がかかったり筆者のように途中で管轄局が変更(法務局→公安局)になる、もしくは法律の一部変更によりルールが変わり(←ベトナムではコレがかなり多いです)、想定外に時間がかかってしまったため在留カードの有効期限が切れた!!
という場合もあるかとおもいますので、そうしたケースによる弊害についてご紹介します。
1.不法滞在となってしまう……当たり前なのですが『在留の資格を喪失』しているので、不法滞在という扱いになり、在留カードの提示を求められた場合が非常に厄介です。
2.移動が制限されてしまう……飛行機に搭乗する際にも在留カードが必要なので、移動手段と移動範囲が限定されてしまいます。
3.ホテルの宿泊……在留カード申請中だと(期間等によりパスポートも預けているため)身分証の提示がほぼ不可能となるのでホテルの宿泊もNG……になるかとおもいきや、これはケースバイケースでホテルの常連客だったり在留カードを申請中という事情説明したらOKな場合(ダメなら余分に料金を支払って目をつぶってもらえるケースもあります)、また、簡易宿(Nhà Nghỉ)ではそもそも身分証が不要という場合もあります。
4.銀行口座が凍結する……(これが一番厄介)筆者が使用しているVP Bankの例を挙げると、在留カードの有効期限が切れると即座にカード決済での引き落としはもちろん、自身の口座から現金を引き出すことすら不可能となります(勤務先からの給与入金はなぜかできてましたが……)。銀行窓口で事情を説明するも『在留カードを更新しない限り一切応じない』の一点張りで門前払いを喰らいました。

 
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いざという時のために、ある程度の現金は持っておいた方が安心です