(筆者独断による)フードデリバリー 王座決戦@ハノイ市

ここ数年でベトナムのインターネットインフラも大きく整備され、ほとんどのものが自宅にいながら手に入るようになりました。
フードデリバリーサービスにおいてもスマートフォン+インターネット環境さえあれば24時間いつでも注文ができるようになりました。
そんなフードデリバリーサービスですが、筆者が好んで利用している3社の内から『ハノイ市のフードデリバリーサービス王』を決定してみたいと思います。
(注:即時配送が不可能な場合は予約注文となります)

とりあえず鉄板。オレンジ色の猛者 ~Shopee Food~

①サービス概要
Shopee Food(ショッピーフード)は、東南アジアで急速に拡大中のShopeeグループが提供するデリバリーサービスで、ここハノイ市でもオレンジ色のジャケットを着用しているShopeeの運転手をよく見かけるようになりました(『早く届けてなんぼ』と考えるドライバーが多いので、運転マナーは(控えめに言っても)あまりお上品ではありません)。
②注目点
新規ユーザー割引や特定時間帯の割引(Flash Sale)、アプリケーション連携クーポンなどが頻繁に提供され、お得感がハンパないと思わされます。
また、公式ウェブサイトによるとハノイ市内だけでも60,000店舗以上の提携店舗数(2025年7月現在)と非常に多いのも特徴的で、日本食(寿司、ラーメンなど)も一定数掲載されています。
また、筆者は利用したことがないので詳細は不明ですがCapichi同様、提携スーパーマーケットの商品や薬、お酒、生花などもオンラインで購入できるようです(親会社のShopeeが通信販売サイトなので当然ではありますが)。
③平均配達時間
30〜45分程度。店舗の距離や天候、交通状況などにより60分以上かかることもありますが、ハノイ市内では比較的安定しているとは個人的に思います。
④デメリット
当然といえば当然なのですが、アプリケーションとメニュー表記がベトナム語もしくは英語対応なので慣れが必要で、初回利用では登録(携帯電話番号もしくはメールアドレス)も必須となり煩雑ではあります。
あと、クレジットカード、ShopeePay、QRコードなどの電子決済は使用可能なのですが現金払いがNGなのもマイナス(筆者はベトナムの銀行口座を開設した際に申し込んだデビットカードにて使用してます)。
⑤商品の受け取り
Xanh Ngon/Capichiとも共通してますが、日本と違い自宅(自室)まで届けてくれることはほぼありませんので、到着した旨の電話連絡(大体『Ship、Ship』と話してきます)が来たらこちらから出向いて配達員を探す必要があります(最近では、スマートフォン版のアプリケーションで配達員(バイク)のナンバープレートや氏名情報が出てくるようにアップデートされたので、探す際のハードルは下がりました)。

 
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配達員はShopeeの制服である、オレンジ色のジャケットを着ているので探すときの目印にはなりますが……着用していない配達員もいます

染め上げろ!! ベトナム全土を緑色に ~Xanh Ngon~

①サービス概要
サービス名のXanh Ngon(サイン ゴン)を直訳すると『美味しい緑』……という名称からお分かりになるかもしれませんが、今やベトナムを代表する企業といっても過言ではない、Vingroup(ビングループ)の系列会社、『GSM(グリーン スマート モビリティ)』が提供しているスマートフォン版アプリケーション『Xanh SMサイン エスエム)』に、いつの間にか(ひっそりと)実装されていたデリバリーサービスです。
なので当然のことながらXanh SMのドライバーが配達員となります
②注目点
個人的な感想では『こじんまり』してて『ローカル感が強い』というところでしょうか。
メインページで表示されているのがドリンクやファーストフード、フルーツ類といった軽食メニューが多めな印象です。
ただ、食べたいものを検索すると結構選択の幅は広いようにも感じます。
試しに『Cơm cà-ri(日本式のカレー)』で検索すると、少ないながらもちゃんと候補が出てきました。
③平均配達時間
40〜60分程度
。Shopeeに比べるとやや時間がかかるような印象ですが、許容範囲の誤差だとは思います。
一方、条件によりますが最短で10分程度ということもちょくちょくあるので、Xanh SMの人海戦術ハンパないッ!! とも感じます。
④デメリット
サービス料金がShopeeよりも若干高め+10,000~20,000VND約60円~120円))となってます。
あと、先にXanh SMを登録していないと使用できないスマートフォン+ベトナムのSIMが必須というのも地味に煩雑ではあります。
逆にいえばXanh SM、Xanh Ngon、Vinmec(Vingroup傘下の総合病院)などを利用していればVingroupの独自ポイント『VPoint』が溜まっていき、ランク(ゴールド/プラチナ/ダイヤモンド)に応じて割引が適用されるので、長期的にベトナムに滞在されるという方にとって利用価値が高いかと思います。
⑤商品の受け取り
Shopee同様、到着したら電話がかかってくるのでこちらから出向いて配達員を探すこととなりますが、スマートフォン版アプリケーション『Xanh SM』にバイクのナンバープレートと配達員の氏名が表示されるのでハードルは低いとは思います。
迷うようであれば『緑色のバイクに乗った、緑色のジャケットを着た配達員』を探せばまず間違いないです。あと、Xanh SMなので取引が完了後、配達員の☆評価(5段階)を促されます(評価はつけなくても大丈夫です)。

 
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Xanh SMは増加数がハンパないので、周囲に緑色のドライバーが複数人いて見分けがつかない。という可能性もあります

Yes!! 日本語。というオレンジ色のクジラ ~Capichi~

①サービス概要
Capichi(カピチ)は、ハノイ発祥のデリバリーサービスで日本語の他7か国語に対応しており、なにより一番の特徴フードサービスだけでなく日用品や日本人向けの食材や無農薬野菜、限定的ではありますがベトナム土産の購入も可能であるということです。
筆者は提携店舗である、スーパー富分(Tomibun)の食材を注文利用することが多いです。
②注目点
日本食と日本の食材。ついでに洋食、中華料理もOK』、『日本語で注文が可能』、『困ったときは日本語でのチャットサポートも可能』、なんならコンタクトレンズと化粧品等のスキンケア、ヘアケア商品も日本語での商品説明を見ることができてCapichiで買えてしまうのが特徴的です。正直、筆者の初訪越当初(10数年前)に比べると至れり尽くせりで泣けてきます。
③平均配達時間
45~60分程度ですがCapichiのサービスは、Shopee Food/Xanh Ngonに比べ調理時間がかかる料理中心という側面もあり、また、食材に関しては物により品切れが発生することもあります(その場合、サポートセンターから日本語で電話連絡があります)。
④デメリット
Shopee Food/Xanh Ngonに比べると商品単価とサービス料が20,000〜40,000VND約120〜240円)と高め。一応、まとめ買いすると送料が無料になったりしますが、500,000VND(約3,000円)以上に限る、など金額設定もやや高めです。
とはいえ、ベトナムにいながらPC/スマートフォンでお手軽に味噌、醤油、納豆などが買えてしまうというのは、日本人在住者にとっては非常にありがたいです。
⑤商品の受け取り
Shopee/Xanh SM同様、到着したら電話がかかってくるのでこちらから出向いて配達員を探すこととなります。
配達員はGrabのドライバーだったり、特に制服を着ていない(お店のスタッフ?)など統一性は皆無なので見分け方が難しいですが、スマートフォン版Capichiにバイクのナンバープレートと配達員の氏名が表示されるので探す難易度としては低いとは思います。

 
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問題があればサポートセンターから日本語で電話連絡がある、という安心感もあります

試しに注文してみよう

ということでみんな大好きブンボーフエBún Bò Huế)1個/55,000VND(約330円)を同じ店で注文した場合の値段はどうなるのか? について調べてみました。
①Shopee Food……検索する際に、入力予測をして関連する候補をリストアップしてくれるという、親切機能がいつの間にか導入されてました。
ちょうどFlash Sale中だったため料理本体に割引が適用され、配送料(20,000VND(約120円))+サービス料(6,000VND(約36円))込みで67,250VND(約404円)でした。
支払いはカード決済もしくはShopeePayという、Shopeeが提供するモバイル電子財布(e-wallet)が使えます。


②Xanh Ngon……関連する候補をリストアップはしてくれませんが、文字を打ち間違えても予測表示をしてくれます。
提示価格は、配送料(23,000VND(約138円))+サービス料(4,000VND(約24円))込みで82,000VND(約492円)でした。
あと、右画面の中央に表記がある『Bảo vệ hàng với XanhCare』は、1,000VND(約6円)を追加することにより、「Food Care 保険」というものに加入ができ、『食中毒になってしまった場合(=Vinmecで対応してくれる(?))や、料理が配送中に紛失・破損した場合でも保障します』というモノらしいです。
こういう付加サービスが可能なのはさすがVingroupというべきところでしょうか。
なお、支払いは現金、(公式ウェブサイトでは)Shopee PayMoMoモモPayZaloザロPayでの決済も可能……ということらしいです(憶測にはなりますが、商品受け取り時に電子決済するのではないかと思います)。
また少数ですが、条件(利用料金や距離など)を満たすことにより使用できるクーポン割引もあるようです。


③Capichi……ベトナム料理は少なく、辛うじて表示されたのがお土産用インスタント麺のブンボーフエ。
うん、ソレジャナイデス……(参考として:配送料が31,000VND(約186円)+料理本体が86,000VND(約516円)の合計117,000VND(約702円)でした)。
支払方法は、現金払い銀行振込クレジットデビットカード払いおよびMoMoモモPayZaloザロPayといったベトナムでは定番になりつつある電子決済と選択肢が多く、3つのサービス中最多を誇ります。

筆者独自視点での比較表

ということで3つのサービスを表にまとめてみました。

サービス名 日本語対応 価格 割引/ポイント 配達時間 店舗数/ジャンル 品質 日本人向け度
Shopee ×(ベトナム語/英語) 最安 非常に多い 30~45分 多種多様。日本食もアリ そこそこ良い コストパフォーマンスでは敵ナシ
Xanh Ngon ×(ベトナム語のみ) Shopeeより高め 少ない 40~60分 ややローカル感が強め そこそこ良い (言語的に)チャレンジャー向け
Capichi 〇(他7か国語に対応) 高め 控えめ 45~60分 日本食、食材は高品質 高め

和洋中料理中心。食材も買えて利用しやすい

ちなみに10数年前のベトナム(ハノイ市)のフードデリバリーはどうだったか? というと……
①注文したけどお店側が忘れている/品切れ → 60分以上かかっても届くのはマシなほうで、待たされた挙句、ぶっきらぼうに『対応できない』だけで終わるケースも多かったです。
②商品の受け取り → 配達員がどこにいるのかをノーヒントで探さなければならなかったので受け取りまでに時間をかかることも当たり前でした(逆に、何度か注文してお店のスタッフに覚えられると自室まで届けてくれるというケースもありました)。
という感じだったので、ここ最近、ようやくまともに使えるようになったとしみじみ思います。

総合評価ポイント

①コストパフォーマンス
割引とポイント還元で、他の追従を許さないShopee Food。同じ料理(上記ブンボーフエの注文例)でも最も安く利用可能なのでコストパフォーマンスは最強です。
親会社Vingroupの『VPoint』を貯められる強みがXanh Ngonにはありますが、フードデリバリーサービスだけでみるとややパンチが足りないと感じます。
一方、Capichiはコストパフォーマンスよりクオリティー重視といっ
たところでしょうか。
②配達時間
Shopee Foodが最も安定した到着時間。
Xanh Ngonも店舗周辺にいるXanh SMのドライバーが即時対応できたりするので、その場合、30分以内に届くこともあります。
Capichiは、本格的な料理がメインとなるため準備(調理)に時間を要し、その分、遅延する傾向があります。
③情報のわかりやすさ
使用言語がデフォルトで日本語対応が可能。(時間によりますが)スタッフと日本語でチャットでの問い合わせもできるCapichiが圧勝。
Shopee Foodは英語も一応使用でき、UIも直感的なのでそこそこわかりやすいです。
Xanh Ngonはベトナム語オンリーなのでベトナム初心者には厳しいです。
④品質/日本人向け度
Shopee Food:メニューの多さが◎。品質もフードデリバリーサービス黎明期に比べ、雲泥の差というレベルで申し分なく、値段重視で見るとShopee一択になります。
Xanh Ngon:アプリケーション『Xanh SM』との連携が強み。品質についてもShopee Foodと大差ないかと思います。
Capichi:日本人視点で考えると『そうだTKG(卵かけご飯)を食べよう』も実現可能(=生卵が入手できる)な、Capichiはありがたいと思います。

 
むらびとl3
以前(5~6年ほど前)まで、衛生面の観点からベトナムでは卵の生食は危険とされていました

ハノイ市のフードデリバリー王は……?

『日本人視点』で考えるとCapichiです。
日本語対応はもちろん、料理のカテゴリー(和洋中)が日本人好み。特に、ハノイ市で一番美味い割烹料理店(だと個人的に思う)㐂六庵(KIROKUAN)のお弁当(そこそこにお値段は張りますが)が買える、さらには調味料や無農薬野菜も手軽に買えるので何かと重宝してます。
ただ、『コストパフォーマンスとメニュー、提携店舗の多さ』ついでに『配送サービスエリアの多さ』という選択肢の広さと柔軟さではShopee Foodに軍配が上がります(カード/電子決済のみというのが欠点ですが)。
Xanh Ngonはサービスとしてはまだ出来立てホヤホヤなので、親会社Vingroupとの連携でどのように発展/進化するのかというところに期待したいところです。